福岡
イベント名称 九州「特別ベンチャー大学」/ 福岡NICe祭り
開催日時 3月21日(土) 13時00分〜17時00分 (開場12時45分)
会場 ●アクロス福岡 2F セミナールーム2
http://www.acros.or.jp/access/index.html
福岡市中央区天神1丁目1番1号
TEL 092-725-9111(代表)
交通:西鉄「福岡(天神)」駅から徒歩10分
   地下鉄空港線「天神」駅東口から徒歩3分
   地下鉄七隈線「天神南」駅5番出口から徒歩3分
参加費 3150円(税込)
定員 70名
プログラム

◆1部・基調講演 
『2010年代の展望と、今、起業家が考えるべきこと』
〜つながり力の強化が新たな日本経済を準備する〜
講師・起業支援ネットワークNICe 
チーフプロデューサー 増田紀彦

◆2部・特別講演
『高卒フリーターから公認会計士 + 単なる専業主婦が勉強努力して 起業家 + 素人がいかに本を出し、大繁盛会計+コンサル事務所にしたかの独立起業物語』

山崎公認会計士事務所
山崎隆弘氏、山崎二三代氏

◆3部・九州起業家大交流会
名刺交換、参加者インタビューなど

懇親会
(2次会)
あり(希望者のみ)
同日17時15分〜19:15 
会費:3500円前後
申込先 kaya@hf.rim.or.jp
または以下の参加申し込みフォームより
http://yumesenkan.jp/modules/ccenter/?form=2
問合先 栢野(かやの) TEL:092-781-5252
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主催 九州ベンチャー大学
後援 経済産業省委託事業 起業支援ネットワークNICe
全国各地の開催概要

福岡レポート
会場は九州でも有数の複合施設「アクロス福岡」
会場は九州でも有数の複合施設「アクロス福岡」
  2009年3月21日(土)、全国でいち早くソメイヨシノが開花した福岡県福岡市にてNICe福岡セミナーが開催されました。今回は、福岡を拠点とするビジネス交流会「九州ベンチャー大学」が主催となり、NICeが後援する形でセミナーが実現。会場は、福岡市の中心に位置するアクロス福岡のセミナールーム。九州各地から40人を超える起業家が集まり、大盛況となりました。

■オープニング
九州ベンチャー大学 栢野克己氏
九州ベンチャー大学 栢野克己氏
  開会にあたり、九州ベンチャー大学の主催者で、総合司会を務める栢野(かやの)克己氏より挨拶。

「これまで、200回近く交流会を開催していますが、経済産業省のようなお堅いところと一緒にやれる日が来るとは思ってもいませんでした。まずは参加者同士の皆さんで仲良くなって互いのビジネスの刺激にしてほしい。ゲスト講師の増田さんは、『アントレ』や『独立事典』の編集者としても有名。つまり、我々のような“弱者の味方”ですので、参加者の皆さんの心強いサポーターとなってくれることでしょう」

■第1部 起業支援ネットワークNICe チーフプロデューサー 増田紀彦氏による基調講演  
起業支援ネットワークNICeチーフプロデューサー・増田紀彦氏
起業支援ネットワークNICe
チーフプロデューサー 増田紀彦氏
「2010年代の展望と、今、起業家が考えるべきこと」
〜つながり力の強化が新たな日本経済を準備する〜


 今年度予定されているNICeイベントは全26回。残り2回となったこの日も、「つながり力の強化」をスローガンに、増田氏の講演はスタートした。

「今日は主に、経営に対する外的要因についてお話をします。皆さんも“SWOT分析”という言葉を聞いたことがあると思いますが、企業が成長し続けていくためには、内的要因である“自分の強み(Strengths)”と外的要因である“世の中のチャンス(Opportunities)”をうまく結びつけなくてはいけません。見渡してみると意外と内的要因(強みと弱み)がわかっていない人が多いですね。その業界ではできて当たり前のことが異業種に持っていくと『すごい!』ということが実にたくさんあります。今日は実例を交えながらお伝えしたいと思います」

<世界のブリヂストンも「外的要因」を先取りしていた>
 恒例の「ご当地ネタ」を引き出しながら、話はテンポよく展開していく。

「今から80年くらい前の話です。久留米市のとある足袋屋さんが、足袋の足裏にゴムを貼りました。するとゴムが滑り止めとなって、実に機能的に優れていることがわかった。やがてこの足袋屋さんはゴムを使ってタイヤを作り始めます。これが現在の『ブリヂストン』です。この会社は、日本でいち早くゴムの実用化、民生品化を行いました。ゴムの用途を足袋から自動車に変えただけですが、このように、世の中のニーズに合わせて事業を変化させていくという視点や行動が大切なのです。

会場には「NICeフラッグ」がはためいた
会場には「NICeフラッグ」がはためいた
  当時、自動車を量産化したトヨタだけでなく、この足袋屋さんもモータリゼーション時代の到来を予見していました。ゴムは足袋よりも自動車に使ったほうがいいと。外的要因を見抜くと同時に自分の強みをどう発揮するか。これをやり続けることができれば企業や事業は不滅です」

 増田氏が強調したのは、「業種や業態は時代とともに変化する」という点だ。そこで、持っている資源を時代に合わせシフトしていくことができれば、いくらでも強みを発揮できるという。

「ダーウィンも『もっとも変化に敏感であるものが生き残る』と言っています。この先、景気はさらに悪くなって展望はよくありません。市場もますます縮小しています。その時、慌てると自分の強みを見失ってしまいます。ではどんな風に変わっていけばよいのかをお話しましょう。

 オバマがアメリカの大統領になって、世界は間違いなく歴史的な再編過程に突入しました。実態経済は限界、アメリカによる一極支配は終焉を迎えつつあります。そういうなかで、私たちは次の経済を作らなくてはなりません。それが“内需の経済”です。現在、日本はエネルギーの9割、食料は6割を輸入に頼っていますが、まずそれを改善しなくてはいけません。自立した経済を目指すには、食料の確保が欠かせないからです。つまり、積極的に農業と関わっていくことが日本経済再生のヒントになるのです」


<"身びいき"と"せっかく"が、日本経済再生のヒント>
「花見よりもNICeセミナー」を選んだ人たちで、会場は熱気に包まれた
「花見よりもNICeセミナー」を選んだ人たちで、
会場は熱気に包まれた
「山形に佐藤錦という高級さくらんぼがあります。高いから儲かるかというとそうではない。ここで注目したいのは、そのブランドを利用してさくらんぼ狩りが行われている点です。いわゆる観光ですね。日本人は“身びいき”と“せっかく”が大好きな民族です。『せっかくここまで来たのだからたくさん買って帰ろう』という経験は誰でもあるはず。さくらんぼ狩りであれば、農園で生産者と触れ合うことができますし、気に入れば通販でリピート客にもなる。つまり、さくらんぼという一つの農産品が核となって、地域の経済を活性化してくのです」



  増田氏はこのさくらんぼの事例から"6次産業"という概念を紹介。これは1次と2次、3次産業を足す、ないしは掛けると6になることがゆえんだ。今回のケースでいえば、農業、観光、IT、小売が複合している。ほかにも休耕田でワサビを栽培する建設会社の事例なども紹介。
やがて講演は佳境を迎える。

「一昨年、観光立国推進基本法ができました。これは、外国人旅行客の誘致強化による外需の獲得が目的です。今日お話した事例からもわかるように、政府は1次産業と1次産業支援ビジネスの推進、地方を拠点とした6次産業の創出を積極的に支援しています。さらに6次産業が形成された地域へ国内外の人々を呼び込むこともテーマになっています。これから起業する人はもちろん、すでに事業を行っている人にとってもこの大きなチャンスをつかむことが大切です。そして、それを実現するために必要なのが“つながり力”の理解、強化、推進、浸透なのです」

 下請けという縦の関係ではなく、異業種との連携によってつながって競争力を高めることができればこの大不況時代はきっと乗り切れるはず、と締めくくった増田氏。それを実現させる最適なツールなのがNICeであることは間違いない。

■第2部 九州起業家による講演 (山崎公認会計士事務所 山崎隆弘氏、山崎二三代氏)
突如、会場はダンスホールに変身!夫妻が考案した「会計体操」でウォーミングアップ
突如、会場はダンスホールに変身!
夫妻が考案した「会計体操」でウォーミングアップ
高卒フリーターから公認会計士+単なる専業主婦が勉強努力して起業家+素人がいかに本を出し、大繁盛会計+コンサル事務所にしたかの独立起業物語

 地元福岡で会計事務所を経営する山崎夫妻による講演会。まずは栢野氏による二人の紹介のあと、会場はダンスホールへと変化! 山崎夫妻は「会計体操」なるものを考案し、それを映像にまとめたところ全国から取材依頼が殺到。当日も夫妻はラジカセ持参で登場。 会計体操を踊った後、わずか4年で主婦から出版を果たしたという妻の二三代さんの講演タイムに。

わずか4年で専業主婦から商業出版を実現した山崎二三代氏
わずか4年で専業主婦から
商業出版を実現した山崎二三代氏
「夫が退職して1年間は失業保険で食べていました。失業中だからパートでは家計をまかなえないから資格と取ろうと社労士を目指しましたが、試験は落ちてしまいました。なんとか経理の帳簿付けのパートを始め、やがて会計ソフトの使い方を教えられるまでに。そこで、大きな気づきを得ました。経営者に資格はいらないから社長になればいいと。それが4年前です。当時は政治、経済、会計、経営、マーケティング……。本当に何も知りませんでした。唯一の強みは消費者であること。つまりマーケットは自分でした」

<何をインプットしてきたか>
「ありとあらゆるセミナーに出て学びました。セミナーはなるべく高額なものを選び、東京まで行きました。とにかく出版したかったので、出版コンサルタントの土井英司さんには、1年半もの間毎月上京してお会いました。何度も何度も企画書を書いたのですが、どれもだめで、『山崎さん、会計体操でも踊ってれば』と言われました。なるほど。ならばそれを本当に作ってみようと思い、実行に移したのです。作詞、作曲、振り付けで総額70万円くらいかかりました。」

<何をアウトプットしてきたか>
「いろいろ試してわかったことは、自分の考えていることを表に出さないとだめだということ。そこで、経営計画書と人生計画書を書きました。ただ、最初はさらけ出すといってもよくわからないので、プロのライターさんにインタビューしてもらいCDをつくり、小冊子にまとめてクライアントに配りました。勉強会も開催しました。今も毎週火曜と木曜の朝7時半から行っています」

<個人のステップアップ、ステージの上げ方>
「ここまで、わずか4年という短い月日でした。私の場合、何が強みかというと、何を言われても平気という打たれ強さです。栢野さんからは、初対面でオバハンと言われましたから(笑)。そして、自分をどれだけさらけ出し、笑えるか。行動、実践が大事。それができれば、成果に結びつくのが非常に早い。主人が何の仕事であろうとも自分は同じことをやっていたと思います。お客さんの問題を解決しようというのはどんな職業でも変わらないからです。具体的なアドバイスとしては、音声CDや小冊子などで問題解決できるコンサルタントであることを表明するとよいでしょう。それを継続して発信し続けると、人や情報が集まってくるようになります」

25歳から公認会計士の勉強を始めたという山崎隆弘氏
25歳から公認会計士の勉強を
始めたという山崎隆弘氏
  その後は夫の山崎隆弘氏にバトンタッチ。山崎氏が実父に「負け犬」と言われたことで奮起し、今日に至るまでの悩み苦しんだ人生の軌跡を語って、会場から大きな共感を得た。

■第3部 九州起業家交流会
最後は栢野氏による起業家インタビュー。
栢野氏が会場の起業家を次々に指名し、自己紹介を行っていくというスタイル。

根本和幸さん
根本和幸さん
根本和幸さん
印刷会社の下請けデザイナーから脱却して、現在は企業のロゴマークだけを専門にデザインし、95%が直受けになっています。今は、昔の取引先からも「お願いだから作ってくれ」と言われるまでになりました。おかげで報酬は5倍以上に増えました。書籍を出版するのが次の目標で、『小さな会社が成功するロゴマークの作り方』というタイトルで、表紙のカバーを自作して周囲に見せていたら、地元の出版社ともご縁ができました。


伊藤隆一さん
伊藤隆一さん
伊藤隆一さん
ダスキンのフランチャイズに加盟して14年がたちました。これまで、「ダスキン」というブランド力を生かせる相手を中心に、高級時計店、結婚式場、ブランド志向をもったホテルなど客層を絞って営業してきました。現在は東京、大阪から進出してくる企業をターゲットにしています。ただ、この不況で大口から契約の見直しを迫られており、これを機にもっと戦略を見直していきたいと思っています。


平井良明さん
平井良明さん
平井良明さん
15年前、九州工業大在学中に起業。当時は西日本の理系学部で初めての学生起業家でした。初めのうちはウェブのアプリケーションを中心に10年間やってきましたが、ブログというシステムに出会ってからこれ一本に特化しました。ホームページは情報を持っている人が簡単に更新できなくてはいけません。だったらブログしかないと。おかげさまで、福岡県庁などの自治体や大学などとも取引できています。これからもブログの新しい使い方や可能性を提案していきたいと思います。


宮成なみさん
宮成なみさん
宮成なみさん
料理研究家でこれまでに2冊出版しています。16歳の時に、血管が細すぎるため病気になり腎不全を発症しました。現代の医学で治せないため、食事療法で進行を遅らせることに。7年半かけて社会復帰し、やがて若い女性たちに料理の楽しさを伝えたい、手に取りたくなるような本をつくりたいと決意し、料理研究家を目指しました。お金、手間、時間、知恵をかけることで、おいしい料理はつくれる。人生も同じという母の教えをこれからも実践していきたいと思います。


■第4部 懇親会
懇親会では再び自己紹介タイムも
懇親会では再び自己紹介タイムも
懇親会では再び自己紹介タイムも
懇親会は会場近くの飲食店「益正」にて、25名が参加。
増田氏が「会場では公開できなかったここだけの話」を披露したところ、会場は再び感動の渦に! また、参加者同士の名刺交換にとどまらず、各自の悩みの共有や相談事が活発に交わされました。

 
 
まとめ
今回は、地元交流会とのコラボレーション型セミナーでした。そのため会場の設営から当日の進行など、主催者の配慮に助けられた部分も多く、我々関係者もいろいろと勉強になりました。セミナーは急きょ1時間延長したにも関わらず、参加者のほとんどが最後まで聞き続けていたことにも感銘を受けました。
そして、「自分のビジネスを貫くことが、日本を変えるきっかけになることを信じてほしい」という増田氏のメッセージは、参加者の胸に深く刻まれたはずです。



撮影/加納拓也
取材・文/NICe福岡祭り実行委員 天田幸宏(コンセプトワークス株式会社)